シニフィアンの塔

 僕の住んでいる街には高い塔がある。塔の中には何があるんだろうか? 登ってみよう。

 塔に入ると、真ん中は吹き抜けになっていた。塔の壁は全て本棚になっており、本棚には何億冊もの本があった。言語学コーナーのある38階に上った僕は、『アイルランド語‐英語辞典』を手に取った。ページをめくると、辞典から文字がこぼれ落ちた。すると、あらゆる本棚から本が落ち、あらゆる本から文字がこぼれ落ちた。頭の上に容赦なく文字が降ってくる。僕はたまらず塔から逃げ出した。塔の中からはずっとどすんどすんと音がしていたけど、しばらく経って音がんだ。

 僕は再び塔に入った。塔の中は文字で満たされていた。文字は海綿か網のような構造を構成していた。突然、ねずみの大群が床を走り回った。ねずみたちは文字の網をかじった。そのせいだろうか、液体が僕の頭に落ちた。液体は銀色だった。水銀だろうか? 僕は塔から出た。見ると、塔は溶けつつあり、塔からは文字が漏れ出していた。ねずみ達が塔から出てきた。ねずみ達は融合し、1匹の巨大なねずみになった。ねずみは煙草たばこ屋を踏みつぶした。僕はねずみを倒すために街から猫を集めた。猫たちはねずみの体をよじ登った。猫達がねずみに噛み付くと、ねずみは崩壊し、元の大勢のねずみに戻った。ねずみ達は帰っていった。僕も猫を大勢引き連れて家に帰った。

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