さらば留萌本線

 北海道に留萌るもい本線という鉄道路線がある。留萌本線は、旭川の近くの深川駅と石狩沼田駅を結んでいる。かつては石狩沼田の先の増毛ましけ駅まで走っていたが、2016年に留萌――増毛間が廃止され、更に去年石狩沼田――留萌間が廃止された。2026年には残りの深川――石狩沼田間も廃止される予定である。さて、私は去年留萌本線に乗りに2回北海道へ行った。この日記では、その旅の模様をお伝えする。


 '23/2/23

 23日、羽田空港から飛行機に乗り、旭川空港に行った。バスに乗り、旭川市街に行った。旭川らーめん紅雲もぐでカレーラーメンを頼んだら、店主に「結構辛いですけど、辛さ控えめにしますか?」と訊かれたから辛さ控えめにしたけど、それでも辛かった。でもうまかった。

 旭川駅に行き、みどりの窓口で、23日から有効の旭川――札幌――庶路しょろ間の乗車券と、25日有効の滝川たきかわ――札幌間・札幌――苫小牧間・追分――白糠しらぬか間の特急券を、割引にして買おうとした。南千歳――苫小牧間の運賃は、降りる時に払うつもりだ。そうしたら、出札のお姉さんに、「乗車券と特急券を同時に買わないと、特急券を割引にできません。」と言われたから、札幌――苫小牧間の特急券は、後で買うことにした。それから、お姉さんが間違えて、乗車券を25日から有効にして発券してしまったから、直してもらった。そうこうしているうちに、列車が発車するまでの時間がなくなったから、走ってホームに向かった。

 普通留萌行きに飛び乗り、恵比島えびしまで降りた。恵比島は、1999年に放送された『すずらん』という連続テレビ小説の舞台である。バスに乗り、ほろしん温泉で降りた。ほろしん温泉ほたる館に泊まった。夕食に、グラタンのようなものが載った焼き魚など、変わったものが出た。


'23/2/24

 24日、バスに乗り、石狩沼田駅前で降り、留萌行きの列車に乗った。列車の中は、鉄道オタクで満員だった。峠下に着く直前で、運転士が急ブレーキをかけ、列車が止まった。雪の塊にぶつかったらしい。運転士が列車が傷んでいないか点検した。10分ぐらい経ち、無事が確認され、列車はやおら動き出すと、またすぐに止まった。対向列車はいないのに、信号が停止信号を現示しているらしい。再び10分ぐらい経ち、信号が進行信号に変わり、列車は再び動き出した。

 ようやく留萌に着いた。留萌駅にある立ち食いそば屋で、予約しておいた駅弁を買った。駅弁は、藤島駅で食べるつもりだったけど、駅員が「除雪をするので、深川行きは1時間ほど遅れて運転致します。」と言ったから、もう食べることにした。駅弁には、にしんの甘露煮と数の子が入っていた。駅弁を食べていると、事態が悪化した。駅員が「深川行きは運休に致します。」と言ったのだ。仕方なくバスで藤島に行くことにした。

 その後、鈴木かまぼこ店で薩摩揚げを買った。それから、大判焼という店で、ひき肉と玉ねぎを炒めたものを皮で包んで焼いた、ぶたちゃん焼きというものを買おうとしたら、店のおばあさんに「今焼けたのがないの。」と言われた。焼いてくれるのかと思ったけど、焼いてくれなかったから買えなかった。

 バスに乗り、藤島駅前で降りた。調べたところ、神居古潭かむいこたんにあるトンネルで事故があり、旭川から留萌に行くバスが遅れているらしい。今日の留萌の交通は大変だ。藤島には何もなかったから、バスに乗り、大和田駅前まで戻った。深川行きに乗り、深川に行った。

 岩見沢行きに乗り、江部乙えべおつで降りた。えべおつ温泉に泊まった。えべおつ温泉に泊まるのは10年ぶりだ。10年前は、店の人に「おかずが少ないので、ご飯をたくさんお召し上がり下さい。」と言われたが、今は食事を出していないらしい。


 '23/2/25

 普通岩見沢行きに乗り、滝川で降りた。特急ライラック札幌行きに乗り、札幌に行き、快速エアポート新千歳空港行きに乗った。列車が札幌を発つ前、父がリュックサックで席を取り、トイレに行った。すると、夫婦が来て、奥さんが父のリュックサックを指して、「その荷物はあなたの? その席、譲って下さらない?」と言った。僕は「この荷物は父のです。父がいない間にこの席を譲るわけにはいきませんが、私の席に座りますか?」と言ったのに、奥さんは「もういいわ。」と言い、夫婦は別の車両に移った。南千歳で降り、特急北斗函館行きに乗り、苫小牧で降りた。

 鵡川むかわ行きに乗り、浜田浦で降りた。FORT by THE COASTというレストランに行った。FORT by THE COASTは、養鶏場が運営している店で、採れたての卵を使った料理を提供している。ピザとカレーを食べた。卵の値段が上がっている中、卵がたくさん食べられるのはありがたい。鵡川行きに乗り、鵡川に行った。むかわ温泉に入った。苫小牧行きに乗り、苫小牧まで戻った。

 岩見沢行きに乗り、追分で降りた。追分は、空知の炭鉱と室蘭港を結ぶ室蘭本線から夕張線が分岐するところであり、鉄道の町として栄えた。1960年代以降、鉱業が衰退するにつれて、空知の諸都市も衰退した。しかし、'81年、石勝線が開通し、札幌と道東を結ぶ特急が石勝線を通るようになり、追分は特急停車駅になった。特急が来るまで時間があり、駅に住民の寄贈した本や漫画があったから、『らんま1/2』を読んだ。乱馬・あかねと三千院帝・白鳥あずさがスケートで戦う話だった。

 特急おおぞら釧路行きに乗った。占冠しむかっぷで列車交換のために運転停車した。ドアを開けたらいいのに。白糠で降りた。ホテルまつやに泊まった。2人1部屋で予約したつもりだったのに、鍵を2つ渡された。父かホテルが間違えて、1人2部屋で予約したらしい。風呂に入った。風呂から上がって、着替えていたら、地震があった。根室と標津しべつで震度5弱、白糠では震度4を観測したらしい。

 Twitterで、とらんす少女ちゃんの『男子時代のmtfの話【大学受験編】』という漫画を読んだ。以下は、この作品を読んで思ったことを書きとめたものである。

 [健太の母]「もぉおお!」「やること/増やすなよ/ノロマ!」「大っ嫌い!」「皿拭いて/直すだけ/でしょ!?」「何なら/できんの」「あっち/いっててよ/もぉおお!」漫画などで大人が子供を虐待しているところを読むと、大人が僕をひどく扱ったことを思い出す。もっとも、その扱いは虐待と言うほどじゃないけど。

 [健太の母の恋人]「その人/言っとったで/お前のこと」「ひとり息子に/殴られたって」加害者なのに、自分は被害者だと主張する奴は許さない。

 [健太]「お前がベソかきながら/ありもしねえもん探して/寒い街を彷徨さまよい/続けてんのがいいんだ」「使えねえお前に/意地悪がしてえ/だけなんだよ」大人が子供を虐待するのは、大人が子供をおもちゃとして扱うことであり、先輩が後輩をいじめるのは、先輩が後輩をおもちゃとして扱うことだ。僕は人をおもちゃとして扱うのを嫌っているけど、虐待をしつけと呼び、いじめを指導と呼んで正当化する人がいる。そんな人たちは、なぜあんなにも冷酷になれるんだろうか?

 [健太]「お前が/賢いところに/行くってのは」「五百円を落とすか/落とさないかの/綱渡りを毎日続ける/みたいな話だ」たった1度間違えただけで、取り返しがつかなくなることがある。

 [健太]「でも/なつき…」「オレもう/これ以上/走りたく/ないんだよ…」頑張り続けて疲れた時に休める世界になってほしい。


 '23/2/26

 やはたというラーメン屋で醤油ワンタン麺を食べた。しらぬかの湯に入った。バスに乗り、大楽毛分岐で降りた。高専前でバスを待つ間、信じられないほど寒かった。バスに乗り、釧路空港で降りた。飛行機に乗り、東京に帰った。


 '23/3/18

 羽田空港から飛行機に乗り、旭川空港に行った。バスに乗り、旭川市街に行った。蜂屋で醤油ラーメンを食べた。旭川駅に行き、留萌行きに乗り、真布まっぷで降りた。駅舎の中に世界地図が貼ってあった。駅名が真布だから地図が貼ってあるんだろう。深川行きに乗り、秩父別ちっぷべつで降りた。秩父別温泉「ちっぷゆう&ゆ」に入った。留萌行きに乗り、留萌に行った。ホテルニューホワイトハウスに泊まった。


 '23/3/19

 留萌駅に行き、立ち食いそば屋でごぼう天うどんを食べた。旭川行きに乗り、恵比島で降りた。恵比島駅にある、『すずらん』の舞台になった明日萌あしもい駅の駅舎で駅弁とウロコダンゴが買えるのだが、駅弁は1日に30個、ウロコダンゴは1日に20箱しかないから、行列ができていた。駅弁とウロコダンゴを買った。明日萌駅を見た。駅長と『すずらん』の主人公である萌の人形があった。

 留萌行きに乗り、幌糠ほろぬかで降りた。駅前を歩いていると、耳をつんざくようなサイレンが鳴った。何かと思ったら、正午の時報だった。深川行きに乗り、峠下で降りた。駅の近くに建物は1軒もなかった。駅弁を食べた。留萌行きに乗り、留萌に行った。大判焼で豚ちゃん焼きを買おうとしたら、閉まっていた。

 ホテル神居岩かむいわに泊まった。浴場のタイルがはがれていた。薬湯に入ったら背中が痛くなり、パニックにおちいった。薬の刺激が強いんだろう。夕飯は美味しかった。部屋で夕食を摂っていると、仲居さんが部屋に来た。「もう少しで食べ終わるので待って下さい。」と言うと、仲居さんは風車ふうしゃを回せるぐらい大きなため息をついた。


 '23/3/20

 留萌駅に行った。テレビクルーが立ち食いそば屋を取材していた。旭川行きに乗り、旭川に行った。

 富良野行きに乗り、富良野に行った。唯我独尊という店でカレーを食べようとしたら、閉まっていた。去年行った時も閉まっていた。富良野まちなか食堂に行った。富良野まちなか食堂は、15日にプレオープンしたばかりで、できたてホヤホヤである。オムカレーとハンバーグを食べた。東鹿越行きに乗り、東鹿越に行った。

 バスに乗り、新得に行った。釧路行きに乗り、別荘に帰った。芽室、帯広と池田でそれぞれ10分以上止まったせいで、行くのに約4時間かかった。


 '23/3/21

 バスに乗り、大楽毛分岐で降りた。バスに乗り、釧路空港で降りた。飛行機に乗り、東京に帰った。

戻る 目次へ 進む
(C)2024 Tsubame Production